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gmt meca の使い方

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meca — GMT 6.6.0 documentation

今回はちょっとマニアックな話です。

gmt meca は発震機構解を描くためのコマンドです。
GMT5までは gmt psmeca という名前でした。

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発震機構解とは

発震機構解とは簡単に言えば地震の原因となった力場を表します。
詳しい説明は以下を参照してください。

気象庁|地震・津波|発震機構解と断層面
発震機構解と断層面の解説ページです
気象庁|地震・津波|発震機構解とは何か
発震機構解の解説ページです

データ取得

発震機構解のデータを公開している有名なサイトは以下の通りです。

  • 気象庁 (GMTで描くには少し大変)
気象庁|地震・津波|最近の初動発震機構解
初動発震機構解のページです
気象庁|初動発震機構解データ
気象庁が提供するページです
  • 防災科学技術研究所(防災科研) F-net (おすすめ)
https://www.fnet.bosai.go.jp/event/search.php?LANG=ja
  • 防災科学技術研究所(防災科研) AQUAシステム メカニズム解カタログ
https://www.hinet.bosai.go.jp/AQUA/aqua_catalogue.php?LANG=ja
  • Global CMT Catalog Search
Global Centroid Moment Tensor Catalog

いずれもデータを使用した際は出典および謝辞を記すこと。

発震機構解の種類

発震機構解にはいくつかの種類があります。

  1. 安芸・リチャーズの発震機構解
  2. ハーバードCMTの発震機構解
  3. 地震モーメントテンソル
  4. 断層面の部分的データから作成する発震機構解
  5. T軸・P軸・N軸のデータから作成する発震機構解

このうち今回は「安芸・リチャーズ」と「地震モーメントテンソル」の描き方について説明します。

gmt meca

gmt meca <データファイル名> -S[発震機構解の種類][スケールの大きさ] [-E【伸張部分の色】] [-G【圧縮部分の色】] [-Fa] [-C]
※ スケールの大きさはM5の時の大きさ。
※ “-E”を指定しない場合は白色で塗りつぶす。
※ “-G”を指定しない場合は黒色で塗りつぶす。
※ “-Fa”を指定するとT軸・P軸もプロットされる。
※ カラーパレットを用いて色を付ける場合は“-C”を付ける。色は3列目が参照される。

基本的にはこんな感じです。

安芸・リチャーズの発震機構解 (Sa)

gmt meca <データファイル名> -Sa[スケールの大きさ] [-E【伸張部分の色】] [-G【圧縮部分の色】] [-Fa] [-Z]
※ スケールの大きさはM5の時の大きさ。
※ “-E”を指定しない場合は白色で塗りつぶす。
※ “-G”を指定しない場合は黒色で塗りつぶす。
※ “-Fa”を指定するとT軸・P軸もプロットされる。
※ カラーパレットを用いて色を付ける場合は“-Z”を付ける。色は3列目が参照される。
※ データは「経度・緯度・深さ・走向・傾斜・すべり角・マグニチュード・Xオフセット位置・Yオフセット位置・メモ」の順。
(Xオフセット位置・Yオフセット位置・メモは省略可。)

気象庁のデータを使って実際に描いてみよう。


まず、気象庁のサイトに行き好きな地震を選ぶ。

気象庁|地震・津波|最近の初動発震機構解
初動発震機構解のページです

上から5つくらいまで地震を選び、数値をメモする。

緯度 経度 深さ マグニチュード 震央地域名 走向1 傾斜1 すべり角1 走向2 傾斜2 すべり角2
36度46.1分N 140度42.3分E 92km 3.7 茨城県北部 333 40 160 79 78 52
36度27.2分N 140度35.8分E 55km 3.3 茨城県北部 188 27 84 15 63 93
36度53.8分N 140度32.3分E 6km 3.9 福島県中通り 17 26 -105 213 65 -83
40度04.3分N 141度50.8分E 51km 4.1 岩手県沿岸北部 257 44 80 91 46 100
35度24.6分N 133度50.5分E 11km 3.9 鳥取県中部 239 82 179 330 89 8
35度37.2分N 137度02.4分E 9km 4 岐阜県美濃中西部 347 77 -8 78 82 -166
35度04.1分N 135度37.2分E 12km 3.2 京都府南部 324 44 35 208 67 129
36度59.0分N 138度31.4分E 10km 3.8 長野県北部 11 52 42 252 58 133
34度12.5分N 135度05.3分E 9km 3.2 紀伊水道 196 35 107 356 57 78

度分秒表記は最高に気に入らないので、少し直す。

緯度 経度 深さ[km] マグニチュード 震央地域名 走向1 傾斜1 すべり角1 走向2 傾斜2 すべり角2
36.76833333 140.705 92 3.7 茨城県北部 333 40 160 79 78 52
36.45333333 140.5966667 55 3.3 茨城県北部 188 27 84 15 63 93
36.89666667 140.5383333 6 3.9 福島県中通り 17 26 -105 213 65 -83
40.07166667 141.8466667 51 4.1 岩手県沿岸北部 257 44 80 91 46 100
35.41 133.8416667 11 3.9 鳥取県中部 239 82 179 330 89 8
35.62 137.04 9 4 岐阜県美濃中西部 347 77 -8 78 82 -166
35.06833333 135.62 12 3.2 京都府南部 324 44 35 208 67 129
36.98333333 138.5233333 10 3.8 長野県北部 11 52 42 252 58 133
34.20833333 135.0883333 9 3.2 紀伊水道 196 35 107 356 57 78

このうち必要なものは、「経度・緯度・深さ・走向1・傾斜1・すべり角1・マグニチュード」

経度 緯度 深さ 走向1 傾斜1 すべり角1 マグニチュード
140.705 36.76833333 92 333 40 160 3.7
140.5966667 36.45333333 55 188 27 84 3.3
140.5383333 36.89666667 6 17 26 -105 3.9
141.8466667 40.07166667 51 257 44 80 4.1
133.8416667 35.41 11 239 82 179 3.9
137.04 35.62 9 347 77 -8 4
135.62 35.06833333 12 324 44 35 3.2
138.5233333 36.98333333 10 11 52 42 3.8
135.0883333 34.20833333 9 196 35 107 3.2

これをmeca.txtとして保存する。
今回は試しにM5のときの発震機構解の大きさを0.5cmにして、

#!/bin/bash
gmt begin aki png
    gmt basemap -JM12 -R120/150/20/50 -Bafg -BWSNE
    gmt coast -Df -W0.25 -LJBR+jTR+o0/1+c20+w500+f
    gmt meca "meca.txt" -Sa0.5
gmt end

とすれば、この結果が、

となる。

ついでに発震機構解は慣習的に赤色で表すので、

#!/bin/bash
gmt begin aki png
    gmt basemap -JM12 -R120/150/20/50 -Bafg -BWSNE
    gmt coast -Df -W0.25 -LJBR+jTR+o0/1+c20+w500+f
    gmt meca "meca.txt" -Sa0.5 -Gred
gmt end

とすれば、

となる。

深さ別に色を付ける。

makcptで発震機構解に色を付けるには、 -C を付ける。

#!/bin/bash
gmt begin aki png
    gmt basemap -JM12 -R120/150/20/50 -Bafg -BWSNE
    gmt coast -Df -W0.25 -LJBR+jTR+o0/1+c20+w500+f
    gmt makecpt -Cseis -T0/100/1 -Z
    gmt meca "meca.txt" -Sa0.5 -C
    gmt colorbar -DJBR+jBL+o2/0+w-5/0.2 -Baf+l"denpth"
gmt end

この結果が、

である。かっこいい。

地震モーメントテンソル (Sm)

gmt meca <データファイル名> -Sm[スケールの大きさ] [-E【伸張部分の色】] [-G【圧縮部分の色】] [-Fa] [-Z]
※ スケールの大きさはM5の時の大きさ。
※ “-E”を指定しない場合は白色で塗りつぶす。
※ “-G”を指定しない場合は黒色で塗りつぶす。
※ “-Fa”を指定するとT軸・P軸もプロットされる。
※ カラーパレットを用いて色を付ける場合は“-Z”を付ける。色は3列目が参照される。
※ データは「経度・緯度・深さ・mrr・mtt・mff・mrt・mrf・mtf・指数・Xオフセット位置・Yオフセット位置・メモ」の順。
※ Xオフセット位置・Yオフセット位置・メモは省略可。

モーメントテンソルについての説明はこちらの資料が大変分かりやすかったです。

なお、モーメントテンソル成分(r,t,f)については、rは鉛直上向きが正、tは南向きが正、fは東向きが正となる。


まずF-netのサイトに行き、適当に検索をしてデータを取得する。
出力フォーマットを「GMT フォーマット」にすること。

[https://www.fnet.bosai.go.jp/event/search.php?LANG=ja]

検索すると、真ん中あたりに数値が空白区切りで書かれている箇所があるはず。
(#longitude…の下からENDの上まで)

この数値データをメモ帳に保存して meca.txt という名前で保存する。
地図の枠は日本全国、ついでにP軸・T軸も描いてみよう。

今回は2020年1月1日~の100個のデータを取得し、関東地方の発震機構解分布図を描こう。

#!/bin/bash
gmt begin tensor png
    gmt basemap -JM12 -R138/141/34/36 -Bafg -BWSNE
    gmt coast -Df -W0.25 -LJBR+jTR+o0/1+c20+w100+f
    gmt makecpt -Cseis -T0/200/1 -Z
    gmt meca "meca.txt" -Sm0.5 -Z
    gmt colorbar -DJBR+jBL+o2/0+w-5/0.2 -Baf+l"denpth"
gmt end

この結果が、

となる。

DEMを用いて描くならば、

#!/bin/bash
gmt begin tensor png
    gmt basemap -JM12 -R138/141/34/36 -Bafg -BWSNE
    gmt makecpt -Cgeo -T-8000/8000/200 -Z
    gmt grdcut @earth_relief_03s -R138/141/34/36 -Gdem.nc
    gmt grdgradient dem.nc -Ggrad.grd -A45 -Ne0.8
    gmt grdimage dem.nc -Igrad.grd -C
    gmt coast -Df -W0.25 -LJBR+jTR+o0/1+c20+w100+f
    gmt makecpt -Cseis -T0/200/1 -Z
    gmt meca "meca.txt" -Sm0.5 -C
    gmt colorbar -DJBR+jBL+o2/0+w-5/0.2 -Baf+l"denpth"
gmt end

となる。

図の作成には防災科学技術研究所のF-netデータを使用しました。
記して感謝申し上げます。

防災科研機関リポジトリ

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